探偵A:「おい、アイツ気づいてないよな?」
隣のBに小声で尋ねた。Bは、数列先の指定席に座る対象者の姿を盗み見ると、肩をすくめた。
探偵B:「たぶん。あんなに堂々と新聞読んでるんだ、大丈夫だろ」
探偵A:「でもさ、着替えなしで新幹線ってどうなの?バレるリスク高すぎない?」
探偵B:「大丈夫だって。この路線、出張族多いし。それに、俺たちだってサラリーマン風だろ?」
Aは自分のくたびれたスーツを見下ろし、Bの顔を見た。
Bは涼しい顔でスマホをいじっている。
探偵A:「お前のはともかく、俺のはどう見ても普段着だぞ」
探偵B:「細かいことは気にすんなって。それより、腹減ったな」
Bは事も無げにカバンからスルメを取り出した。Aは呆れた顔をした。
探偵A:「お前、新幹線でスルメ食うなよ。臭いだろ」
探偵B:「いいじゃねえか、旅の醍醐味ってやつだ。ほら、食べなよ」
二人はスルメの匂いを撒き散らし、くだらない会話を続けながら、対象者が降りる駅まで、ひたすら新幹線に揺られた。
探偵の仕事は、時にこんなにも退屈なものなのだ。
終わり
神奈川 横浜の探偵 ブルーフィールドリサーチ
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